映画『ラ・ラ・ランド』感想 ミュージカルは素晴らしいけど作品としての完成度はイマイチ
どうも!
にものです。
今話題の映画『ラ・ラ・ランド』を見てきたので、その感想を書いていきます。
タイトルでわかると思いますが、作品を悪く言う部分があるので『ラ・ラ・ランドマジで最高だったわ〜〜〜!!!』という方はお気をつけてご覧ください。
※完全なる主観です。
※ガッツリネタバレしてます。
※1回しか見てないので、セリフや演出を勘違いしている部分があるかも知れません。
初っ端から全力のミュージカルを2連チャンで見せられてついていけない
渋滞している高速道路を前から後ろにズラーっと映し終わったあとに、1台の車がズームアップされ、乗っている女がラジオの曲に合わせて歌いだす・・・
突然車を降りたと思ったら、そこから今作品で一番破壊力のある全力のミュージカル!!!!!
主人公は最初に歌いだした女の人なんだろうな〜とか思いながらも、それがはっきりしないまま、人々が騒ぎ、踊り、飛び跳ねる!!!!!
いったい誰やコイツら!!!!!今後登場する人達!?!?
とかって困惑してるうちに最初の女の人の顔も忘れ、一通りドンチャン騒ぎしたあとにタイトルど〜〜〜ん!!!
『LA・LA・LAND』
僕「あ、あぁ・・・OPやったんやね・・・」
このミュージカル、インパクトあっていいと思うんだけどブッ込んで来るの早くない?
主人公がはっきりしたあとに、その主人公が中心になったミュージカルのOPとかなら勢いがついていいと思うんだけど、一切の情報がないまま全力のミュージカルされると誰一人知らないから「俺は今何を見せられているんだ?」って気持ちになる。
そのうえ、OPのスタッフロールも表示されてなかった気がするので(これは監督のこだわりかな)、困惑してOPをOPと認識する前に終わってしまった。
この最初のミュージカル自体は本当に素晴らしかったんだけど、軽く作品を掴ませてからのほうが良かったかな・・・。
そしてそれから掴みの部分が少しあってからの、ミアがオーディションで門前払いにされ、家に帰る・・・
からの全力ミュージカル!!!!!
僕「序盤から飛ばすなぁ・・・」
最初のミュージカルの興奮冷めやらぬうちに、こちらもインパクト大の歌とダンスでドンチャン騒ぎ。
しまいには車に乗って、レッツゴ〜パ〜リィ〜〜〜!!!
僕「お、おぉ・・・」
というようにここでも困惑していたんですが、その一番の理由は全力のミュージカルを2連続で見せられたことじゃありませんでした。
一番の理由は次の項目。
翻訳が問題なのか脚本が問題なのか、とにかく字幕が不親切
ミアがオーディションの控え室で電話しているときのセリフの意味ちゃんとわかった人いますか?
電話相手とじゃなくて試験官との会話。
電話の内容は女優仲間がオーディションに通ったようなことを言ってるんだな〜と察しましたが、そのあとの試験官との会話がマジで意味わからなかった。
2分がどうのこうのって言ってましたが、喋っている試験官が映ってないし、ミアが口を動かしているわけでもないのに字幕がズラズラっと表示されていて、このシーン正直何喋ってんのかわけわかんなかったです。
不機嫌そうに出て行くミアを見て状況を察しましたが、この時点で頭にちょっとハテナマーク。
さらに、家に帰ってからもルームシェア仲間との会話で「パーティがどうのこうの」の話をしていて、その会話がまだ完結していないのに横からもう一人の子が「このドレスッ!」って割り込んできて主人公が「あなたのよ!」(私のよ!かも)と返したする、入り交じった会話をしている横で、他の子が「今日こそは見つけに行くのよ、誰かを」と意味深なフレーズで歌っていたり・・・もう脳がどこの処理からすればいいかわからなくなってました。
歌の歌詞に秘められた思いと、入り交じるセリフの意味を理解しようとしている途中で全員家から出ての全力ミュージカル!!!!!
ハテナマークだらけの頭でやっとひとつ理解したことは、ミアの青いドレスが似合っていて可愛いぐらいだった。あと、家から出て来るときのダンスがやたら妖艶だということ。
道で踊っているとき右から2番目の子がふらついて1番右の子に軽くぶつかったのはわざとなのかな〜とか考えているうちにミュージカルシーンが終わる・・・。
う〜ん・・・。
このシーンだけではなく、この作品はとにかく終始字幕が不親切だったような気がします。
例えば、ミアが初舞台で大根役者と言われて傷ついたことをセブに報告するシーンのセリフ。
「大根だもの」
これは作品の中でも最も簡単な例ですが、この字幕だけポンッと出てきても意味がわかりませんよね。前後に女優っていう要素があって、そこから見てる側が連想して『大根役者』と理解するみたいな。
さっきも言った通りこれは本当に簡単な例ですが、こんな感じの字幕が多いです。そのせいで何の話をしているかわからないセリフが度々見られて、毎回困惑しました。
もうひとつ例をあげると、最後のほうで2人でベンチに座りながらミアがオーディションに受かったら〜の話をしているシーン。
ミア「わたしたちはどこにいる?」(心の距離的な意味、恋人としての距離的な意味で)
セブ「公園」
みたいなセリフがあったと思うんですが、セブが「公園」とだけ言って、心の距離や恋人としてのポジション的な質問をしてきたミアに対して「今?今ぼくたちは公園にいるじゃん」っていう意味合いの小ボケをかますんですけど、真面目な話をしている最中に突然「公園」って言うもんだから「コイツ何言ってんだ?」と、酷く困惑しました。
このカットはカメラワークが悪くて例の公園のベンチに座っていることが視覚的にわかり辛く、ミアの「昼間はまったく違うわね」的な発言から場所を想像しないとダメなのもあって、本当に困惑しました。
ていうかまずあそこ公園なの???道路の脇にベンチがあるだけで公園とは言えなくない???公園とは言えないかも知れない場所を突然「公園」と呼ぶわかり辛さと、真剣な話の最中にいきなり小ボケというわかり辛さが相まって死ぬほどわかり辛くなってるからね・・・
※この「公園」というセリフの意味合いは1回見ただけじゃはっきりとはわからなくて、Twitterでこのシーンについての考察ツイートをしている方に質問して教えて頂きました。
ストーリー的な意味でも演出的な意味でも物足りない部分が多い
ミアとセブは恋に落ちましたが、お互いが惹かれ合う描写がほとんど見られなかったような気がして、映画館でいきなり手を伸ばすセブにちょっとビックリしました。
そして、それに応えてあわやキッスするかどうかまでいっちゃうミアもおかしい。からのプラネタリウム宇宙ダンスからの濃厚なキッスっておいおい・・・
僕「え、えぇ・・・はや・・・」
2人は夜の公園でダンスを踊ったあとに、ジャズバー的なところでセブがジャズの知識を披露しただけです。
そのときもジャズの知識が豊かなセブに知的な魅力を感じるミアの描写なんかは一切ないように見えましたし、別れ際もしれーっと別れてお互いちょっと振り向くだけ・・・
偶然何回も会ったことで運命を感じていて〜っていうのはわかりますが、なんかもうちょっとね・・・てかミアビッチ過ぎワロタ。(これについては後でじっくり触れます)
そして、個人的にこの作品の一番の残念ポイントがストーリーです。
この『ラ・ラ・ランド』という映画は、ミュージカルで盛り上がるポイントは非常に多いんですが、本筋のストーリーで盛り上がるところが少ない、というか弱いと思うんですね。
心が揺さぶられることがあまりないっていうか、心に響かないっていうか・・・。
中まで火が通ってない肉まんって、外側は温かいけど中冷たいから満足できませんよね。そんな感じに近い。
個人的には最後のオーディションに受かるかどうかのあそこでバチッと沸かせて欲しかったな・・・と。
突然あの5年後の文字が表示された時はビックリしました。
わかりやすくありきたりな言葉を使うと、ほんとに抑揚がなかったです。ミュージカルは素晴らしかったんで、もっと上手くハメたら化けるのになあと。おそらくストーリーで心が揺さぶられてからあのミュージカルを見せられたらよくわからない涙を流してました。
というか途中で視聴者の盛り上がりかけた心をスパッ!とリセットしてしまうような演出多かったですよね、最初のピアノシーンとかミアが何かをガン見してて、溜めて溜めて〜〜〜最初の渋滞のシーンをもう一回見せて、このときの男だよってことを視聴者に伝えてからすぐピアノシーンにパッ!と切り替わるかと思ったらセブが店に来るまでの話開始〜〜〜っておいおいおいおいおいおいおい〜〜〜〜!!!!!そこはあっさりでいいよ〜〜〜!!!!ってなりました。
実際あれは無理に挟む必要なかったと思います。
・・・と、ここまで批判ばかりしてきましたが、最後の回想(妄想)シーン〜締めまではとても良かったです。
最初のピアノシーンがシーンがもう一回流れて
僕「これどうなるんやろ・・・」
と思っていたら
ミア「あなたの演s・・・
キッッッッス!!!!!からのタラレバ妄想が暴走!!!!!妄想が暴走しているシーンを劇場で放送〜〜〜!!!!これも監督の構想〜〜〜!!!!
ぐらい韻が踏めちゃいそうな展開。お互いがもしこうだったら・・・を存分に想像し、最後は切なさを残して終わり。
締め方は綺麗でしたね。下手なハッピーエンドよりリアルで個人的には好きです。ミアビッチ説が浮上してることで妙に納得することもできたし。
ミアはビッチだしセブは迷惑バカ男
最初の渋滞のシーンの話ですが、ミアは前の車が進んでいることに気付かなかった自分を棚に置いて、クラクションを必要以上に鳴らしてきたセブに対して先制ファッキンポーズをかましますよね。アメリカではこれが普通なんですか・・・?
クラクションを鳴らされてるのに気付いて、前を確認して「あっ、ごめんなさい、気付かなかったわ」ブーンって感じで前に進むんじゃなくて「もーうるさいな!!!!!誰が鳴らしとんねん!!!(ミラーチラッ)なんやあの男!!!あっ、横に来た!!マジお前ファッック!!!ファァァァック!!!」って勘違いバカ女の典型的な例じゃないですか?
クラクションを鳴らしまくるセブもどうかと思いますが、ミアはもっとクレイジー。そしてミアのクレイジーさは加速していき、彼氏がいるのにパーリィー三昧、彼氏がいるのに「恋が始まるかどうかは私次第よ」というニュアンスのフレーズをあの夜セブに投げかける、彼氏がいるのに2回目デートのセブとイチャコラからの濃厚キッス。しかも劇場でセブを探すときには、既に上映が始まってスタッフロールが流れているスクリーンの前に堂々と立つクソ自己中さ。
僕「こいつなんやねん・・・」
セブはセブで夜の住宅街で20〜30秒ほどクラクションを鳴らし続けるバカ男。近くの家の人に物を投げられてもお構いなし。屈強なメンタル。ここは「いや、ミアの名前知ってるんだから聞いてまわればいいやないか・・・」と正直思いました。
そして次の日の朝8時。セブがミアを迎えに来て家の前に車を止める。
僕「出るの・・・?バカクラクション出るの・・・?(ワクワク)」
セブ「(時計チラッ)ミア出てこないんか・・・行こっと・・・」ブーン
いやお前朝早いのは考慮すんのかい!!!!!!!!!!夜あれだけやっといて朝はあっさりなんかい!!!!!!!
てか家に呼びに行くぐらいするやろ普通・・・
夜怒られたのでちょっと反省しての考慮かも知れないけど、物投げられてもクラクション鳴らし続けるDQNバカ男が1回で言うこと聞くかね・・・そんな人なら最初からしないでしょうよ・・・。
てかセブもセブでミアの彼氏の存在を知ってんのに映画館で手を伸ばしてキスに持ち込むってコイツも相当なチャラ加減じゃないですか?
アメリカでは普通なの?もうビッチとチャラ男がただただダンスしてる映画。
秘められているメッセージは多い
演出やセリフなど表面的なことばかり言ってきましたが、メッセージ的な部分では多くの要素が詰め込まれているなと感じました。
「ジャズは死んだ(死にかけている)」「サンバはジャズに対する侮辱だ」というジャズに対しての監督の熱が伝わって来るようなセリフ。古き良き物が時代のニーズに合わずに廃れていく様。金儲けのことや成り上がることしか考えていないクソみたいな業界人。挑戦し続けることの大変さと厳しさ、そして素晴らしさ。求めることと求められることのバランスを取る難しさ。
ミアとセブのラブロマンス要素が強すぎて、これらの要素が薄まった感はありますが、振り返ってみるとほんとに様々なメッセージが込められているなと。
特に、ミアの彼氏共がリアルト劇場のことを不潔だって言っているシーンなんかは「あぁ・・・」という残念な気持ちと、若い子がそう感じるのもわからなくないなという気持ちが混ざった、なんとも言えない気持ちになりました。実際に今の時代はこういう気持ちになることよくあるよなぁ・・・と。妙にリアルだった。
おわりに
思いついたことをその都度書きなぐったので、非常に理解し辛いところがあったと思います。すいません。
ミュージカルが素晴らしかっただけにちょっともったいなかったな・・・・という一言に尽きる作品でした。僕は映画『セッション』もまったく好きじゃないので、多分この監督が合わないんだと思います。
ここまで読んでいて一回でも「コイツ何言ってんだ?」という気持ちになった方は、イライラせずに、ラ・ラ・ランドを見て僕みたいな考えを持つ人間もいるんだな〜ぐらいに解釈してくれたらと思います。
ということで最後にひとこと言って終わりにします。
『ミア、チワワに似てて可愛い』
つーわけで
おわり!!