【図解】サッカーのオフサイドを世界一詳しく説明する【オフサイドとは?】
『オフサイド』
サッカー中継などで度々登場するこの言葉。
なんとなく聞いたことはあるけど、よくわかんないという方は多いと思います。
うちの母もサッカーが好きで、日本代表の試合が地上波で放送されているときは必ず見ているのですが、ほぼ毎試合『オフサイドってなんやったっけ?』と聞いてきます。
おそらくすでに100回ぐらいは説明しているのですが、100回ぐらいは忘れています。
確かにオフサイドは比較的多く登場するファウルの割に、ちょっと分かり辛いので、サッカー経験のない方が一回聞いただけでその全てを理解するのは難しいかと思います。
そこで!
今回はそんな方のために、図を用いて世界一わかりやすくオフサイドの説明をしたいと思います。
オフサイドを理解するとサッカー観戦が絶対にもっと面白くなるので、サッカーが好きな方は是非覚えて欲しいと思います!
オフサイド【初級編】
まずはじめに、オフサイドを理解する第一歩として
『オフサイドライン』
というものを覚える必要があります。
「なんでオフサイドというルールがあるの?」というのは後にして、まずはオフサイドの言葉の意味から理解してください。そっちのほうがわかりやすいので。
オフサイドラインとは
その時に一番後ろで守っているゴールキーパー以外の選手をポイントにして、真横に真っすぐ引いた線だと思えば大丈夫です。(厳密に言うと後ろから2番目の選手)
図は白チームと黒チームが対決しているものですが、それぞれのチームのオフサイドラインを水色で表しています。
つまり試合中は常に見えない2本のオフサイドラインが発生しているということですね。
そして、一番後ろの選手が前に出たり後ろに下がったり、他の味方選手と入れ替わったりすることでこのオフサイドラインが上下します。
オフサイドとは
そしてオフサイドとは、相手のオフサイドラインを超えた位置でパスをもらう行為のことを言います。
つまり、こんな状態でパスをもらうとオフサイドになってしまいます。
これはセーフ
これはアウト
少しでも超えていたらダメ
そしてオフサイドの基準は、パスを出す選手がボールを蹴った瞬間。つまり足がボールに当たった瞬間に、パスを受け取る選手がこのオフサイドラインを超えているか超えていないかで決まります。
どういうことかというと
先ほどのセーフの位置にいるときにボールが蹴られて
ボールが転がっているときにアウトの位置まで選手が移動した場合。
これはボールが蹴られる瞬間オフサイドラインを超えていない位置にいたのでセーフになります。
つまり、オフサイドラインを超えた位置でパスを貰おうと思ったら、ボールを出す側の蹴る瞬間を見極めて、うまくオフサイドラインを超えなければいけないのです。
サッカーには複数の審判がいるのはご存知かと思いますが、その中でも旗を持った副審と呼ばれる審判が、常にこのラインを真横から見えるようにサイドを頑張って走っています。
なんでオフサイドがあるの?できた理由は?
オフサイドについてはやんわり理解していただけたかと思いますが、どうしてオフサイドというルールが作られたのかはなんとなく想像できますか?
これはサッカーが生まれて間もない時代の話になりますが、まだ手を使ったらいけないというルールだけでサッカーが行われていた頃、「自チームを離れて敵の男たちの中にこそこそ入る行為」は卑劣とされ、卑劣な行為で勝敗が決まってしまうことを防ぐためにオフサイドが作られたと言われてます。
おそらくこれは「前で待ち伏せしてるのなんかズルくない??なんか良いルール考えよ~」みたいな感じだったんだと思います。
たしかに、オフサイドのないサッカーはゴール前が常に団子になって退屈そうですよね。
これで【初級編】は終わりです。
これだけでも試合中に起こる大体のオフサイドは理解できると思いますが、細かなルールがたくさんあるので次はその説明をします。
オフサイド【中級編】
オフサイドの細かいルールを紹介します。
オフサイドの適用
オフサイドラインを超えている場合でも、ボールに対してのアクションを行っていなかったり相手の邪魔をしていなかった場合は、その選手はオフサイドになりません。
オフサイドになるケース
・味方からのボールに触れる
これは基本ですね。
・味方からのボールを明らかにプレーしようと試みており、その行動が相手選手に影響を与える
味方からのボールを追いかけたりすることによって、相手選手にアクションを起こさせてしまう状況などでは、選手がボールに触れていなくても笛が吹かれ、オフサイドになります。
・相手選手の邪魔をする
相手選手の視界を遮ったり、体でブロックしたりすると、ボールに触れていなくてもオフサイドになります。
オフサイドにならないケース
・ボールをプレーしようと試みていない
ボールに反応していなかったり、ボールに向かう行動をとらなかった場合は、オフサイドラインを超えていてもオフサイドになりません。
例えばこのようなシーン
これはボールをもった黒チームの選手がパスを蹴る瞬間の図。
この場合オフサイドラインを超えている選手がボールに触れたり、触れようとした場合はオフサイドになります。しかし、ボールに反応せず白矢印の方向に歩いているだけだったりした場合はオフサイドにならず、奥にいる選手が流れてきたボールに触ることができます。
つまり囮のような形で選手を使うこともできるということですね。
スローイン、ゴールキック、コーナーキックはオフサイドにならない
この3つは受け手がオフサイドポジションにいたとしても、オフサイドにはなりません。
オフサイドラインはハーフラインを超えない
図は白チームが攻めまくってるときの例です。
オフサイドラインはハーフラインを超えないので、白チームのオフサイドラインはハーフラインと同じ位置になります。
当然、黒チームの選手はこのラインを超えてパスをもらうとオフサイドになります。
マイナス方向のボールはオフサイドにならない
これは白チームの選手を完全にかわしきった黒チームの例です。
この場合、相手のオフサイドラインを超えた位置でパスを貰っていることになりますが、オフサイドラインをボールが超えるとボールそのものがオフサイドラインになり、ボールよりマイナス方向のパス、もしくは平行方向のパスはオフサイドになりません。
戻りオフサイド
戻りオフサイドはプロの試合でもたまに見逃されるぐらい分かり辛いので、審判をする予定のある方以外は、なんとな~く覚えてみてください。
これは、オフサイドラインを超えた位置にいる黒の選手の手前にボールが蹴られて、ボールが転がっているときにオフサイドラインを超えていない位置まで選手が戻ってきた場合の図です。
これは一見問題がないようにも見えますが、ボールが蹴られる瞬間オフサイドラインを超えていたのでオフサイドになります。
相手やポスト・バーに当たって跳ね返ったボール
シュートやパスがGKに弾かれたり、相手の体やゴールポスト・クロスバーに当たって跳ね返ってきた場合は、そのシュートやパスを蹴った瞬間にオフサイドラインを超えていた選手がオフサイドになります。
キーパーが弾いた瞬間や、相手やポスト・バーに当たった瞬間ではなく、ボールを蹴った瞬間なので注意してください。
相手の意図的なプレーだった場合
相手に当たってしまいこぼれたボールは上記のようにオフサイドが適用されますが、相手が意図的に行ったプレーをミスしてボールがこぼれた場合はオフサイドが適用されません。
つまり、クリアやパスといった意図的なプレーがミスになって、オフサイドラインを超えている選手へ渡った場合は、オフサイドにならずプレーが続行されます。
上の二枚目の図を見てもらうとわかると思いますが、黒の選手のシュートが白の選手に当たっています。これが白の選手に当たっただけであれば、こぼれ球を拾った黒の選手はオフサイド。白の選手が意図的にクリアしようとしたが、失敗して黒の選手へこぼしてしまった場合はノーオフサイドということになりますね。
意図的かそうでないかは難しい部分なので、審判の判断にまかせるのが一般的です。強いて区別するならば、ボールがぶつかった場合は「意図的ではなく」、ボールに触りにいった場合は「意図的」と考えましょう。
ちょっと長くなりましたが、これで【中級編】は終わりです。
おそらくこれでオフサイドの95%は理解できるので、サッカー観戦がもっと楽しくなりますよ!
あとの5%に興味がある方向けに【上級編】も用意しましたので、より高みを目指したい方はご覧下さい。
オフサイド【上級編】
ちょっと難しくなります。
オフサイドになる体の部位
最初にオフサイドラインの説明をしましたが、オフサイドラインのポイントを細かく言うと『手と腕以外の部位の、味方ゴールに一番近い点』になります。(※注記)
つまり、『手と腕以外の部位の、味方ゴールに一番近い点』をポイントにして真横に引かれたラインがオフサイドラインとなります。そして、そのオフサイドラインを超えてはいけないのも『手と腕以外の部位』と決められています。
なので、手と腕以外のつま先や顔がオフサイドラインを1ミリでも超えていた場合はオフサイドになるということですね。
まあ実際の試合ではここまで厳密にジャッジするのは不可能ですが・・・
※実際には日本サッカー協会の競技規則では攻める側のオフサイドの定義ははっきりとされているが、守る側のオフサイドラインのポイントははっきりと定義されていないので、おそらく同じ定義だろうという憶測での説明になっています。
GKがDFよりも上がった場合のオフサイドライン
通常、GKがDFよりも前に上がるということはあまりないので、珍しいケースになりますが、GKが上がった場合は最後から2番目の選手がオフサイドラインのポイントになります。
この場合のラインはこうなりますね。
同じように後ろから2番目の選手がGKの場合は、GKがラインのポイントになります。
もちろんボールがこのラインを超えている場合は、【中級編】で紹介した『ボールそのものがラインになる』というルールが適用されるので、本当にイレギュラーな展開のみこうなります。
これは知ってる人がとても少ないので、知っていると通な情報ですね。まあこの状況は極稀なんですけど・・・
意図的なセーブでのオフサイド
いよいよ最後ですが、これがこの記事の中で一番理解に苦しむところだと思います。
【中級編】で『意図的なクリアやパスはオフサイドにならない』というものがありましたが、それが『意図的なセーブ』の場合は実はオフサイドになるんです。
・・・はい??
というようなお顔をされているようなので詳しく説明します。
意図的なセーブとは
意図的なセーブを説明する前に、セーブの説明をさせてください。
"セーブ"とは、ゴールに入りそうな、または、ゴールに近づいたボールを、競技者が手または腕(ペナルティーエリア内にいるゴールキーパーの場合を除く)以外の体のいずれかの部分を用いて止めることを意味する。
日本サッカー協会 競技規則から引用
つまりシュートを止めるのがセーブ。
ということは意図してシュートを止めるのが意図的なセーブ。
対してクリアとは、ボールを蹴ったり頭でヘディングして危険を回避する行為なので、意図的なクリアと意図的なセーブの違いがものすごくシビアです。
個人的には、シュートに対して体をぶつけて止めることしかできないぐらい緊急を要するプレーがセーブ。自分から蹴ったりヘディングしたりできる余裕があるプレーがクリア。だと思っているのですが、どっちにもとれるプレーもきっと存在します。
なので、このルールは正直言って審判の判断が全てとしか言いようがありません。
実際の試合でも、このすごくシビアな判断で生まれたゴールが、本当はノーゴールじゃないのか?という議論がネット上で繰り広げられたこともあります。ですが、これはもうしょうがないんです。オフサイドは深いんです・・・
おわりに
以上がオフサイドの全てになりますが、こうやって出してみるとやっぱりちょっと複雑ですね。うちの母の気持ちがわかるような気がします。
この記事でなんとなくでもオフサイドを理解できた方は、たまにテレビでやっているJリーグの試合や日本代表の試合などを見て、生オフサイドをご覧になってくださいね!!
ちなみに、代表の試合やJリーグでも普通に誤審はあります。
それだけジャッジが難しいってことですね・・・
もし、オフサイド以外のルールで不安な点があるなら、こちらの本の購入をおすすめします。
画像が多く使われているので、オフサイドはもちろん、正しいスライディングやタックル、ヘディングで競り合う際のファウルの基準などをカンタンに学ぶことができます。
8人制サッカーやフットサルのルールも含まれているので、サッカーやフットサルを始めたお子さんと一緒に学んでみてはいかがでしょう?
つーわけで
おわり!!